「幻」になるつもりなどなかった島の酒
日本最南端の有人島・波照間島。 その小さな集落の中に、日本最南端の酒造所があります。 波照間酒造所。 造っている銘柄は、昔も今も「泡波」です。
家族を中心とした小さな蔵で、 昔ながらの設備を使い、手仕事で造られる泡波。 決して多くはない生産量のほとんどは島の中で飲まれ、島に還ります。 島の宴で飲まれ、年中行事で飲まれ、 神様に捧げる酒もまた泡波。 もともとは遠くの誰かのためではなく、 波照間の人たちのために造られてきた「島の酒」でした。
ところが、観光客の増加や泡盛ブームによって状況が変わります。 造る量はそう簡単には増やせない。 島で飲む酒も必要。 そこへ島の外から「泡波が欲しい」という人が増えれば、 島外へ出ていく分はほんのわずかです。
そのわずかな泡波を求める人が増え、 いつしか「幻の泡盛」と呼ばれるようになりました。 けれど波照間島を訪ね、宿に泊まってみると、 夕食のテーブルには、ごく当たり前のように泡波が立っていました。
もちろん、島の人たちが泡波だけを飲んでいるわけではありません。 実際、島の売店にはほかの泡盛も並んでいました。 それでも、この島で生まれ、この島で飲まれ、 島の暮らしとともにあり続けてきた酒が「泡波」なのだと思います。
酒造所を訪ねた時には、次の世代、 いや、そのまた次の世代になるのかな、 小さな子どもの姿もありました。 この小さな蔵の酒造りが、これからも代々続いてくれたら。 そんなことを思いながら酒造所を後にしました。
なお、東洋でご用意している泡波は、 島の需給を過度に崩すことのないよう、 波照間酒造所の許可をいただいたうえで購入してきたものです。 島の酒を分けていただいている、という気持ちは これからも忘れずにいたいと思います。
MoodToyo's Stocks
現在販売されている泡盛だけでなく、 MoodToyoで長く保管してきた瓶や、 時間を重ねた泡盛もご紹介します。
泡波 30度 (一般酒)【熟成中】
瓶詰時期:随時入れ替え
島でも見かけない一升瓶。石垣島の浜辺で発見しました。
泡波 30度 (古酒)【熟成中】
瓶詰時期:----
角のない飲みやすい円い泡盛になりました。柔らかな甘みが心地よい。
泡波 30度 (古酒)【プレゼント中】
瓶詰時期:----
スタンプラリー全制覇の暁にはこのミニボトル進呈いたします
店主の記録
まずはここまでご覧くださり、ありがとうございました。 「いかがでしたでしょうか?」 島を跨ぎ、酒造所を巡ってきた泡盛紹介も、 ここ波照間島でとうとう「果てのうるま」へ到着してしまいました。
泡盛の種類は、容量違いや限定酒などまで含めれば、 今や900種ともいわれています。 さすがにそのすべてをご紹介することはできませんが、 各酒造所の定番・看板といえる泡盛は、 ひと通りご紹介できたのではないかと思います。
波照間島は一周約15km。 自分が訪れた頃は、600人ほどが暮らす島だったと記憶しています。
昔からこの島の人たちが、 唄い、弾き、踊り、喜び、悲しみ、そして笑う。 そんな時、その傍らにあった酒が「泡波」だった。
そう考えると、 島の暮らしに欠かせない酒を、 島の外にいる自分たちが分けていただいていることに、 ありがたいと思う一方で、少し申し訳ないような気持ちにもなります。 「幻の泡盛だから」「珍しいから」だけではなく、 もともとはこの島の人たちの酒であることを、 どうぞ忘れずに味わっていただけたらと思います。 ……と、自分自身にも言い聞かせております。
島の宿で夕食とともに味わった泡波と、 東洋のカウンターで飲む泡波は、 やはり違う味がしました。 まあ、土俵が違いすぎて話になりませんけど。
島で飲んだ出来たての泡波は、 「香り高く、若々しい」印象でした。 まだ古酒になる前の、島で生まれたばかりの泡波。 あの味は、あの場所で飲んだからこその味だったのかもしれません。
そして夜の波照間は、 外へ出るのもちょっと怖くなるほど暗い。 街灯はいくつか見えるものの、 集落の形が分かるほどの明るさではありません。 夜、集落の売店まで歩いてみましたが、 外を歩く人をほとんど見かけなかったのも納得です。
海を渡り、島を巡り、蔵を訪ね、 最後に辿り着いた日本最南端の有人島。 そこで飲んだのは、 「幻の酒」ではなく、 波照間の人たちがずっと飲んできた島の酒、「泡波」でした。
みなさんはどこの島でどのお酒を飲んでみたいですか? 店主 拝